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12月吉日

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11月29日

岩波文庫の新刊「浄瑠璃素人講釈(下)」を読む。相変わらず痛快な本である。と書いて岩波のページを見たら,やはり『摂津大掾・大隅太夫・絃阿弥らの描写は誠に巧みで,文章は痛快です』とある。気が合うな。著者は,普段稽古をつけて貰っている当代の名人に対して,言いたい放題,叱り放題である。これは素人(しかもお大尽)の強みだ。なおかつその批評は,現代の公演で解説として使われているほど的確である。芸道を愛し,伝統の衰微を憂う,こういった批評家は貴重な存在だが,あいにく専門家揃いの現代において,どんな分野であってもそれを望むのは難しい。

11月25〜28日

週末は鎌倉での宮本文昭さんのコンサートと,横浜でのラビットショーに行ってきました。その間,岩波文庫の新刊「田中正造文集(一)鉱毒と政治」を読み,その足尾銅山鉱毒事件を始め様々な社会問題に対する姿勢,使命感に燃えた姿に感銘を受けました。本書には,書簡,日記,建白書,「明治天皇への直訴状」など,明治11年から37年までの多様な文書を収録しています。これは,現代の反公害とか抵抗運動という言葉に馴染めない人でも,それらの原点を知る意味で一読する価値のある書だと思います。

11月24日

集英社新書の新刊「余白の美 酒井田柿右衛門」は面白かった。十四代柿右衛門が語る祖父,父から受けついだ伝統芸,柿右衛門窯の成り立ちや職人たちの技。色絵磁器の製作工程についても丁寧に説明されており,柿右衛門とは,単なる1人の作家の名ではなく,多くの職人を抱える工房の師匠でありプロデューサーであることがよく分かる。

11月24日

岩波文庫の新刊「クック 太平洋探検(2)第1回航海(下) 」を読みました。ニュージーランド,オーストラリア,ニュー・ギニアを経て,帰国するまでの記録。座礁による船の損傷や食人種を含む住民との戦いとともに,熱病により多くの船員を失ってしまいますが,ニュージーランドの海岸線を明らかにして領有を宣言,オーストラリア大陸に上陸し東岸一帯の領有を宣言,ニューギニアとオーストラリアが地続きでないことを確認するなど多くの成果を上げました。クックは,のちにホークワークスにより編集・出版された航海記録が気に入らなかったこと,同行した博物学者バンクスの方が帰国後もてはやされたことなど,いろいろ不愉快なこともあったようですが,翌年,新たな航海を目指すことになります。いずれにしても,クックのこの航海が,当時のヨーロッパ社会に与えた影響は計り知れないものがありました。

11月22〜23日

続いて東海林さだお氏の新刊「誰だってズルしたい!」を読みました。「オール讀物」連載のシリーズ「男の分別学」の単行本化。世の中にはさまざまなズルがある・・・ということで,化粧,寄せブラ,イケメンなどを糾弾する一方,ニューヨークへの松井選手観戦ツアー参加記,居酒屋メニューを英語で説明,老人の主張など,ユニークな視点のエッセイが一杯。私は食べ物シリーズの方が無理なく楽しめるのですが,それは「オール読物」の読者層がちょっとご高齢のせいなのでしょうね。

11月19〜21日

東海林さだお氏の新刊「パンの耳の丸かじり」を読みました。ワンパターンと思いながらも,東海林さんの本は癒し効果満点です。今回のお題は,1万円のカレー,カップめんの正しい食べ方,懐かしの都こんぶ,わたくしタマネギのファンです,カニの人柄などなど・・・食を愛し,数々の難問?に果敢に挑むショージ氏。その筆運びの巧さは変わらず。

11月17〜18日

仙台へ行ってきましたが,あちらは意外に寒くなく,解禁したばかりのボジョレヌーボーを味わってきました。光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「魔術師」を読了。「魔術師」と「吸血鬼」を所収。吸血鬼では,小林少年の初登場と明智探偵の結婚が明らかに。とにかく猟奇的な場面が盛りだくさんで,面白いことは面白い。なんというか,いかにも天知茂好み。

11月15〜16日

江戸川乱歩全集「月と手袋」で残っていた「黄金の虎」を読了。少年探偵団ものだが,ほのぼのとした味。続いて,新刊「魔術師」を読んでいるところ。最近書店で,クラッシックカーや飛行機などのモデル付き解説書が毎月刊行されているのを見かけますね。パートワーク(分冊百科)出版というのだそうですが,これを手がけているデル・プラド・ジャパンと発売元の扶桑社との間で契約が突然解除となり,これらシリーズの配本ができなくなりました。扶桑社によると,「弊社は『週刊デル・プラド コレクション』の発行元であるデル・プラド・ジャパン株式会社との間で結んでおりました販売に関する契約を,今般解除いたしました。つきましては、弊社は11月11日発売号以降のコレクションを供給することができなくなりました。ご愛読いただいておりますお客さまには,多大なご迷惑をおかけしますが,ご不明な点などございましたら,下記フリーダイヤルにてお受けいたします。」 一方,デル・プラド・ジャパンでは,新しい発売方法を検討中とのこと。

11月10〜14日

息子に新しい自転車を買ってやったら,さっそく近くの海浜公園で一日中走りっぱなし。付き合う方としては,広い園内を何周も引っ張り回されて,いい加減疲れました。6段変速で見た目は良いのですが,やはり値段相応ということで,7歳児には重くて取り回しが大変そうです。

11月9日

以前から気になっていた,えい文庫「僕のマーチン君」(田村十七男)を読む。有名ミュージシャンが楽器との出会いを語る,などという企画はよくあるが,本書は学生時代からギター好きだった「無名」ギタリストの編集者が,憧れのギター「マーチン」を40歳にして初めて手に入れるまでの心の葛藤を綴ったもの。いい歳した男なんだから,高級ギターであれ何であれ,金があるなら好きなように買いなさい,というご意見もありましょう。しかし,そこは実用というエクスキューズのない趣味物,自ずから自制心が働き,オレには未だ早い,これを手に入れてしまったら夢が消えてしまう,といった屈折した気持ちは,私のような貧乏人じゃなくても,共感できるのではないでしょうか。マーチン・アメリカ工場見学記もあり,ギターに限らず,楽器に興味のある人にはお薦め。しかし,マーチンて意外に安かったのね。

11月8日

水口幸広「カオスだもんね!」第12巻は11月9日発売ということだったのだが,もう売ってました。今回は,スモーク作り,ツムラ入浴剤,すべり台探訪,お神輿,ソフトグライダーなど,のどかな話題多し。思えば,第1巻刊行からはや10年。著者,関係者ともにいろいろなアクシデントがありました。いまでも一押しのレポートまんが。

11月6〜7日

もうすぐ誕生日ということで,焼肉店でお祝い。急に歳を思い出したか,腰痛がひどくなり,這い蹲っています。えい文庫「ミニチュア・ダックス ペティート」を読みました。ミニチュア・ダックスとのつきあい方をビジュアル中心に解説したもの。嫌犬家2名がいる我が家では,犬を飼うことはないだろうが,子犬の写真は見ているだけでほのぼの。私のいまの姿もダックス並みだけれど。

11月4〜5日

運転免許の更新に行って来た。更新手続きがだいぶ簡素化されていて,書類も名前ぐらいしか書くことがない。優良運転者だったので(普段運転しないのであたりまえだが),手続き,講習も含めて1時間ほどで新免許が出来てきた。かつては,なんだかわからないうちに取られてしまう印象のあった交通安全協会費も,ここ神奈川県運転免許試験場では,払いたくてもどこで払えばいいのかわからないくらいで,これもなかなか結構。

11月3日

吉祥寺JAZZ喫茶「メグ」店主でオーディオマニアの寺島靖国氏の新刊「JAZZオーディオ寝ても覚めても四苦八苦」を読んだ。相変わらずケーブルやレコードプレーヤーを取っ替え引っ替えしながらも退屈な日々を送っていた著者の元に,ドイツの最新鋭スピーカー・アバンギャルド試聴の機会が。一聴驚嘆し,すぐに欲しくなってしまうも1800万円ときいてさすがに怯んだ。それでお手軽?な280万円のアバンギャルド・デュオをメグに導入。これが運の尽きで,自宅でも,あれだけ愛していたレイオーディオ6Vを売り飛ばして,アバンギャルド・トリオを購入。しかし,自宅に設置されたアバンギャルド・トリオから出た低音は無情にも「ポヨ〜ン」だったのである・・・著者曰く,また10年は楽しめるな。

11月1〜2日

岩波文庫の新刊「浄瑠璃素人講釈〈上〉」(杉山其日庵)を読む。著者は人形浄瑠璃愛好家(素人といっても旦那ですな)。本書は,竹本摂津大掾など当代の名手から聞いた話を元に,だんだんと芸風が崩れてきている義太夫の,古典的な様式美を追究しようとしたもの。上巻は「傾城冥途飛脚」から「近江源氏先陣館」まで50本を収めている。浄瑠璃の何たるかも知らない者が,こんな解説本を読んでどこが面白いのか,とお思いでしょうが,これが結構読めるのである。将棋を知らない人にとって手筋の解説書は難解だが,棋界の噂話や棋士評なら楽しいのと同じ?である。それでも浄瑠璃のことを全然知らないのでは・・・という人に,「人形浄瑠璃文楽」という綺麗なページがおすすめ。

10月27〜30日

相変わらずぐずついた天気で,10月は台風と地震で終わってしまいますね。文春文庫の新刊「先崎学の浮いたり沈んだり」を読みました。120面指し(同時に120名を相手に対局)でギネスブック申請中の人気棋士,先崎八段,相変わらず文章の方も達者で,すでに著書は十数冊。本書は2年ほど前に出た単行本の文庫化。先崎さんは,もちろんプロでもトップクラスの棋士だが,同世代の羽生さんとはイメージが違い,あくまで無頼派,博徒。もちろん恐ろしいものではなく,容貌も可愛いのだが,新潮新書「小博打のすすめ」なる本も出している凝り性なところが肝心の将棋タイトルへの縁のなさにつながっているのか・・・。

※新潟中越地震で被災したうさぎたちを救うプロジェクト〜S.O.S.新潟うさぎ!〜※

10月25〜26日

「クック太平洋探検(1)」の続き。南米からタヒチを目指しているところですが,クック船長,船員をしょっちゅう鞭打ちしていますな。中世の英国海軍における懲罰は,『1530年ごろへンリー8世が公布した海軍規律令によると,船内で殺人を犯した場合,その者に偉業があっても,その者を生きたまま死体に縛って海中に投げ棄てる……船内で艦長を武器で突き刺した場合,その者の右手を切り落とす……船内で自分の当直中に居眠りした場合,……4度目には……その者をビール1缶,肉1片そして磨いだナイフと一緒にカゴに入れ,バウスプリット(斜檣)に吊し,そこで餓死するか,それを切って海中に入水をするかを選ばせる……船内で酔って,船の食事を食べなかった場合……艦長は鉄製の足かせで縛って入牢させ,その者がみずからの罪を悔いるまで放っておく……となっていた。……1731年に海軍本部規則が制定された。それは,いままでの処罰を繰り返したものであったが,それを軽減しまたその手続きを詳細に定めた。死刑といった処罰は,次第に実行されなくなったが,鞭打ち刑は19世紀中頃まで多くの軍艦では日常行事であった』とのこと。(海上交易の世界と歴史

10月25〜26日

「白鯨(中)」読了。引き続き,岩波文庫の新刊「クック太平洋探検(1)第一回航海(上)」を読んでいます。地震続きで落ち着きませんね。

10月22〜24日

「白鯨(中)」を読んでいます。まだ「白鯨」は現れませんが,当時の遠洋捕鯨の様子がリアルに書かれていて,楽しめます。紀伊國屋書店が「ふるほん文庫やさん」と提携し絶版・品切文庫のネット販売を10月22日に開始。ということで見てみましたが,なんだかよく判らないページになっていました。

10月21日

しかし,驚きましたな。講談社現代新書。最近のビニールテカテカの新書群(岩波新書含む)の中にあって,長く馴染んできたデザイン,手触りとも好感を持っていただけに,今回の改装はちょいと残念。てっきり手抜きかと思ったら,『現代新書は1964年に創刊されました。おかげさまで創刊40周年の節目を迎えることができました。40年の長きにわたりご愛読いただいていることに深く感謝いたします。 このたび,40周年を機に装幀を一新することにいたしました。現代新書が装幀を変えるのは33年ぶり2度目のことです。・・・新書は新しい思想や文化や価値観や情報を,いち早く,わかりやすくコンパクトに提示できるメデイアです。そういう新しい時代に向き合う姿勢を,今回の新装幀に託しました。新刊は,どれも新しい教養書と呼ぶにふさわしい内容です。また、装幀も一冊一冊異なる色をほどこしてあります。ぜひ,手に取ってみてください。そして,今後とも,現代新書をかわいがってやってください』とのこと。釈然とはしませんが,たしかに新書は中身が命。だけど,肝心な新刊も読みたいものが無く,インパクトに欠けると思うのですが・・・。岩波文庫の新刊「白鯨(中)」を読んでます。

10月19〜20日

先日,愛子様のビデオが公開された。やはりというか,『愛子さまご愛読絵本フェア』なるものが。『もりのこえ』『ちいさなうさぎはんしろう』ほか,ビデオに登場した本を中心にご紹介とのこと。『うずらちゃんのかくれんぼ』はなんと全国書店売り上げ第3位だ。ビデオでの浩宮様はほほえましくてよかったが,この本は,誰が選んだのだろうか?

10月18日

光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「月と手袋」を読んでいますが,鼻炎で苦しいため捗らず。本巻には「月と手袋」,「影男」,「灰色の巨人」,「黄金の虎」を収録。新橋駅前では恒例の大古本市を開催中。覗いてみたが,古い文庫本は全然無かった。台風は近づいているし,最近の大古本市はホント天候に恵まれませんな。

10月13〜17日

風邪気味なのに忙しかったのと,読みたい本が出なかったため,先週は本棚から古い本を引っ張り出して読んでいました。そのうちに,Dr.スランプの文庫版がドサッと出てきて,最近テレビの再放送を見ている息子が,次々と読破中。今月の岩波文庫は,クックの「太平洋探検(1)」,や先月読んだ「白鯨」の続き,改版された二葉亭四迷の「浮雲」,それから「浄瑠璃素人講釈(上)」と,なかなか楽しそう。「浮雲」は旧版で読んでいますが,今回は語注が詳しいとのことで,もう一度読み直そうかと思っています。

10月7〜12日

連休中は台風で大変でしたね。我が家でも庭木が倒れたり,若干の被害が。角川文庫「添乗員狂騒曲」(岡崎大五)を読みました。修学旅行や熟年ツアー,代議士後援会の視察など,海外旅行のフリー添乗員である主人公が,旅先で出会う数々のアクシデントを乗り切っていくお話。業界裏話や各国事情も少々ありますが,結局,魅力ある添乗員には,臨機応変な決断力と厚い人情が必要ということですな。ここのところ添乗員とは縁のない私ですが,これを読むと団体旅行の面白さ,難しさというのがよく判ります。

10月5〜6日

ちくま文庫「鉄道廃墟」(丸田祥三)を読む。鉄道廃墟というのは,廃線になったり,未開通のままうち捨てられた鉄道構造物や車両のこと。私より年下の著者は写真家だが,文中しばしば戦争にまつわる話が出てくる。社会派風切り口なのだが,所詮,和光育ちのお坊ちゃん鉄道マニアという感じになってしまっている。もう少し淡々とした語り口にしてくれたら,物寂しくも美しい写真が活きてくるのに,と残念。

10月4日

岩波文庫からヴェブレン「有閑階級の理論」が重版された。随分前に読んだものだが,なかなか息の続かない白帯の中で,とくに興味を持てたものの1つ。「資本主義の独占化に伴なう貸付資本の形成の中に現代の有閑階級出現の理由を見出し,彼らの心理風俗を克明に分析していく」ということで,要は,たいして働きもしないでブラブラ遊んでばかりいるのに,なぜあの人はお金持なのか? また,これまで何で女性は男性の持ち物(失礼)のように扱われてきたのか?など,いろいろ面白い考察がなされている。やっぱり「有閑・・・」という言葉には惹かれますな。

10月1〜3日

週末は小学校の運動会。新興住宅地でもないのに,息子の小学校はここのところ生徒数が増加し,1000名を突破。冷暖房付きのプレハブ校舎を増築し,急場をしのいでいる。40年近く前,2000名を超えていた我が母校に比べれば寂しい・・・とはいうものの,生徒たちは元気よく頑張っていました。ちなみに,私が小学校の時,徒競走ではゴム底の地下足袋を履いていましたが,3つ違いのカミサンは運動靴だったとのこと。給食が脱脂粉乳だったことも含め,我が世代は戦後の復興期から高度成長時代への移行期だったとあらためて感じた次第。

9月30日

図書券が廃止になるという。いずれ図書カードへの移行によりなくなるとは思っていたが,カードより使いやすい点もあり残念。おもしろいのは,時期が地域によって違うことで,山陰地方はすでに昨年11月,東北,中国,四国は今年8月で廃止となっている。もちろん,現在手持ちの図書券や他府県で発行された図書券は,今後も使えるし,500円の図書カードの販売も始まった。

9月28〜29日

夕刊フジBLOGにおもしろい記事があった。『個性派書店として根強いファンがいた青山ブックセンターの閉店でもわかるように、書店の閉店・倒産が相次いでいる。ここ5年で約4000店も減少しているというデータもあるほどだ。ポーラ化粧品本舗グループだったブックストア談を傘下に収めるなど、大手書店として株式を上場している文教堂。その売り上げ総利益(粗利益)率は19.7%である。逆にいえば、原価は約8割。文教堂の場合は80.3%であり、これに売り上げに占める賃借料など販売費および一般管理費18.4%を合わせれば98.7%になり、営業利益はわずか1.3%ということになる。一般書店は利幅が薄い商売だということがわかるだろう。一方では、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション、まんだらけ、ブックオフなど、粗利はそれぞれ37.8%、52.3%、71.6%。一般書店と比べて驚くほど高い。たとえばブックオフの場合、古書の定価は新刊の半分程度である。新刊で1000円したものを古書500円で販売しているとすれば、粗利は360円弱。店に買い取りしてもらう側からすれば、1000円の本は140円、実際には定価の1割程度でしか買ってもらえないということ。』 新興古本屋の活躍が目立っているものの,新刊が売れなければ古本もいずれ無くなる訳だが・・・。

9月22〜27日

岩波文庫の新刊「お伽草子」(太宰 治)を読む。カチカチ山,浦島太郎,こぶとりじいさんなど,よく知られた昔話を太宰流に読み解いていく。童話や昔話を深読みして,そこに秘められた意味を探る・・・というような本は,あまたあるが,これはあくまで太宰流。「こぶとりじいさん」では,『この物語には,不正の事件は,ひとつも無かったのに,それでも不幸な人がでてしまった。それは日常倫理では測れないことであり,性格の悲喜劇というものである』といい,「カチカチ山」は,狸の背負った薪に火を付け大やけどを負わせた上に,芥子を刷り込み,最後は泥船で沈めてしまうというウサギの異常な仕打ちを,37歳の中年狸に対する16歳の処女ウサギの残酷さであるとし,狸の『惚れたが悪いか』という無念の叫びに,中年男の悲哀を見る。おもしろおかしく書かれてはいるが,執筆は昭和20年,空襲下の東京。直後,焼け出された太宰は,妻子とともに,戦後没落することとなる津軽の生家へ逃げる。その切迫感が息苦しく感じられる本でもある。

9月21日

ツール・ド・フランスといっても,テレビで見た山岳道路を選手たちが喘ぎながら登るシーンを見て,ヨーロッパでは自転車が人気あるんだなあといった程度の認識しかない私でも興味を持って読めたのが,「ツール100話−ツール・ド・フランス100年の歴史」(安家達也)。このフランス一周の自転車レースがいかにして生まれたか,毎年毎年の優勝者をはじめ,歴史の残る名勝負や事件を取り上げています。とくに初期のレースは,観客から毒入りのドリンクを渡されたり,ライバルをけ落とすために道に鋲を撒いたり,めちゃくちゃではありますが,メーカーによるチーム戦となった現在とは異なり,鉄人たちが競う個人競技としての熱気も感じられます。タイヤのホイール交換も認められなかったため,スポークが折れた選手が自転車を担いで10キロ離れた鍛冶屋まで行き,自分でトンカン叩いて直してレースに復帰したこと,あまりに速すぎて,中間地点で2位と1時間もの大差がついたので,途中のカフェに入りこんでワインなど飲み,みんなが通り過ぎるのを待ってやおら再スタートし,それでも優勝したことなど,今では考えられないエピソードが多く,楽しめます。著者が日本人なのにもビックリ。

9月19〜20日

「自転車散歩の達人 The new fifties−黄金の濡れ落葉講座」(山川健一,講談社)を読みました。こんな副題が付いていることには気がつかなかったけれど。ママチャリに乗りながら自転車の歴史や思想を語る著者。どこかで読んだような文体だなぁと思ったら,「マッキントッシュ・ハイ」のひとでした。あくまで都会人のための自転車ガイドですが,そこここに出てくる業界人的な見栄と自分で達人と書いてしまうセンスのなさがちょっと悲しい。類書が少ないので,シティサイクルに興味のある方はどうぞ。

9月18日

ディスカウントストア「キムラヤ」が倒産。オヤジの109とか,新橋パルコとか言われた?新橋駅前店。営業は続けているようだが,よく利用していただけに残念。ドンキホーテの進出等が響いたとも言われるが,やっぱりサラリーマンの景気がね。

9月13〜17日

京都から戻ってきました。えい文庫の新刊「下町純情カメラ」(大西みつぐ)と平凡社新書「素晴らしき自転車の旅」(白鳥和也)の2冊を持って行きましたが,行きの新幹線で読了。乱歩を読まずにとっておけばよかった,などと思いつつも,幸い?時間を潰さなければならないような機会もなく,疲れて眠りながら帰ってきました。大西氏の写真は,下町路地裏の情景を撮ったもので,その普通さの中にある人々の織りなすドラマや写しこまれたディテールのおもしろさが特徴。正々堂々と,ありふれた写真を撮ることは,ほんとうに難しい。白鳥氏の自転車本は,いわゆるサイクリング(最近ではツーリングか)の楽しみを説く一方,装備や走行上の留意点など,実用的な知識も充実しており,自転車好きにとってはもう一度長距離を走ってみたいという気にさせてくれる本。最近では,別にテント生活をしなくても,ビジネスホテルや旅館に泊まりながらのサイクリングも可能だし,著者も言うとおり,旅先で泊まるかどうかがサイクリストとしての大きな経験の差になります。

9月10〜12日

休日はトンボ採りと「でんじゃらすじーさん」カードゲームのおつきあい。光文社文庫の江戸川乱歩全集の新刊「十字路」を読む。本巻には,防空壕,大江戸怪物団,十字路,魔法博士,黄金豹,天空の魔人を収める。「十字路」は,『筋を立てるのに,初期からの探偵作家クラブ会員渡辺剣次君に助力してもらった。作中の雄大なトリック,ダムの湖水の底に死体を隠す着想や,新宿の十字路で二つの殺人事件が相交わるという着想は,渡辺君の創意によるものであった。渡辺君の立ててくれた筋を,私に書きやすいように多少の変更を加えて,文章は私自身が書いた。したがって,これは半ば以上私の小説といっていいので,全集にも入れることにした』と乱歩自身が言うとおり,プロットは借り物であり,それゆえ乱歩らしくない完成度の高さだが,おどろおどろしいところはなく,舞台を現代に置き換えて,ドラマ化されたりもしている。今週いっぱい京都へ出張ですので,持って行く新しい本を仕入れなくては。

9月7〜9日

岩波アクティブ新書「快適自転車ライフ」(疋田 智)を読む。自転車ツーキニストで知られる著者の4冊目の自転車本。ママチャリに乗って冒険に出かけよう,こんなに奥が深いぞ自転車の世界,快適な自転車通勤と自転車生活のために,自転車と街と未来と,といった内容で,一見,大人のための自転車再発見のススメだが,読みでがあるのは,欧米の自転車先進国と比較して,我が国の貧しい自転車社会を語る後半。普段自転車に乗っている人なら,誰でも感じる不満を,明快に行政の意識の問題として洗い出してくれている。放置自転車はなぜ増え続けるのか,いくつかの自治体が実施した共用自転車制度はなぜ失敗したのか・・・お薦めです。

9月6日

岩波文庫の新刊「ギリシア恋愛小曲集」(中務哲郎訳)。古代ギリシャの恋物語4篇(クセノポン「パンテイアとアブラダタス」,カッリマコス「アコンティオスとキュディッペ」,パルテニオス「恋の苦しみ」,ムーサイオス「ヘーローとレアンドロス」)を所収。平易な訳だが,いかんせん,歴史に疎い人間には人間関係がピンとこない。ぼちぼちと注に頼りながら,結構楽しく読み進んでいます。

9月5日

二度の地震のせいではないでしょうが,我が家の前の電柱にあるトランスまわりが炎上し,消防車が来る騒ぎに。急に周辺に家が増えて,継ぎ足し継ぎ足ししてきた電線のせいか,海からの塩害のせいかは,分かりませんが,物騒な話。

9月2〜4日

週末は海浜公園でトンボとり。黙って網を出してりゃ,勝手に入ってくれそうなほどたくさん飛んでいて,最初は捕まえた!とご機嫌だった息子も,かごに入りきれないトンボを次々と小さい子に分けてあげることに。えい文庫の新刊「猫と写真の時間」(藤田一咲)を読みました。既刊「ハッセルブラッドの時間」,「お茶と写真の時間」が好調とのことで第3弾。日本と世界の街角で出会った猫を表情豊かに撮ったもの。たしかに,その国らしい猫の表情というのがあるんですね。最近,猫の島として有名になった?我が江ノ島の猫たちも登場。著者の言うとおり,人間とノビノビ共生できるノラ猫は,平和のシンボルですな。

9月1日

「白鯨」の続きを読んでいます。捕鯨船と船乗り稼業についての記述が多く,古さを感じさせない迫力のある書きぶりなので,読んでいると時代感覚が無くなってきますが,本書は日本が開国する直前,150年ほど前に書かれたもの。これまで,「白鯨」の翻訳は,なかなか苦難の道を歩んできたようなので,今回は早期完結を望みたいところです。

8月27〜31日

最後の夏休み連休をとっていました。岩波文庫の新刊「白鯨」,他の文庫や岩波の旧版でも読んでいるし,ボリュームもあるので,どうしようかと迷ったのですが,書店でぱらぱらめくってみて,当時の捕鯨船の構造図や,読みやすそうな訳文に惹かれ,さっそく読み始めました。そして,以前読んだとき(の記憶)と随分印象が違うことに気がつきました。モビィ・ディックとエイハブ船長との死闘という筋書きを追っているだけではなく,そこに至る細かい状況描写を読む余裕が出てきたということでしょうか。本作は,メルヴィル32歳のときに書かれたもの。メルヴィル自身の乗船経験が反映されているとはいうものの,これだけのスケールの大きな物語に仕立てた力にあらためて感心させられました。

8月26日

真実のようなフィクションが太宰なら,フィクションのような真実が有島,という組み合わせにしたというわけではないだろうが,「小さき者へ・生れ出ずる悩み」は有島の苦悩が凄みを持ち,ストレートに伝わってくる。3人の幼い子供を残して妻が逝ったとき,父として子供達に「お前たちの人生は既に暗いのだ,小さき者,不幸なものたちよ」と呼びかけるのは,随分残酷である。それは,遠い将来彼らの奮起を促すというより,自らの責任を放棄した卑怯な態度にも感じられる。有島は高級官僚の父,基督教への信仰,農園改革など,いずれにも立ち向かっては挫折し逃避し,最期はご存じの通りの心中だ。本書にも色濃く現れているそのような敗残の精神に,世の父親は惹きつけられる。

8月24〜25日

岩波文庫の新刊2冊,有島武郎「小さき者へ・生れ出ずる悩み」と太宰治「津軽」を持って行った八戸への出張では,思ったよりも時間が無く,「津軽」をようやく読み終えることができた。満員の通勤電車の方が,新幹線より読書に集中できるというのは,あながち貧乏性というわけではなく,満員電車で密着している方が,かえって他人を意識しないで済むという都会人?の本性の現れですな。本書は故郷への率直な思いが語られていて,太宰にしては数少ない読んでいて楽しい作品。もっとも,素直でない私は,これが本当の太宰の気持ち,姿なのかと,常に疑いや不安を持って騙されまい!と力を入れて読んでいるので,意外に捗らなかったようだ(そのあたりは長部氏の解説に詳しい)。次は,有島武郎で癒されよう。

8月20〜23日

日本洋書販売が青山ブックセンター本店と六本木店の営業を9月29日に再開するとのこと。 青山ブックセンターっていうのは,「文化的な」ポップカルチャー&深夜営業というイメージだったが,そういう独特のムードに惹かれる人は少なくなった(あるいは,わざわざ書店に足を運ばなくなった)と思うので,果たしてうまく再建出来るかどうか。かくいう私も,最近はずっとご無沙汰でした。洋書は海外書店のWebで取り寄せればよいし・・・。

8月17〜19日

さて,みなさん夏休みをとられるのはいいのだが,編集の立場としては,進行が大幅に遅れるので苦しいところ。今月の岩波文庫新刊は,「ギリシア恋愛小曲集」,有島武郎「小さき者へ・生れ出ずる悩み」,太宰治「津軽」,メルヴィル「白鯨」(上)。来週は,出張で青森へ行く。「津軽」には,太宰が故郷の金木から進学のため青森に出るときのことが,『青森の中学校に入学試験を受けに行く時,それは,わづか三,四時間の旅であつた筈なのに,私にとつては非常な大旅行の感じで・・・かねて少年雑誌で習ひ覚えてあつた東京弁を使ひました。けれども宿に落ちつき,その宿の女中たちの言葉を聞くと,ここもやつぱり少年の生れ故郷と全く同じ,津軽弁でありましたので,少年はすこし拍子抜けがしました。生れ故郷と,その小都会とは,十里も離れてゐないのでした』などと書かれている。今では東京から青森まで3時間の旅なのだ。

8月16日

引き続き,光文社文庫乱歩全集より初期の長篇を読む。人気急上昇!だったものの,行き当たりばったりの雑誌連載スタートがひびいて,途中で挫折したり,強引に結末を付けたりのいいかげんな初期の乱歩調が特徴。それでも,これでもかと迫ってくる原色調の変態絵巻には魅力あり。子供の頃読んだら,結構興奮したかも・・・。

8月12〜15日

夏休みをとって,箱根へ行ってきました。温泉でのんびり,というつもりでしたが,深夜までのオリンピック観戦で,休んだような休まなかったような・・・。相変わらず「パノラマ島綺譚」所収の作品を読んでいます。講談社が11月で「ホットドッグ・プレス」と「マイン」の休刊を決定とのこと。最近はご無沙汰でしたが,学生時代から親しんだHDPの休刊は寂しいですな。「ホットドッグ・プレス」は79年の創刊。ファッションや女性との交際術などを取り上げ,80年代には「ポパイ」と並ぶ人気雑誌だったが,その後部数が減少。2年前にいったん休刊し,誌面を刷新してリニューアル創刊したが,部数を回復できなかったとのこと。

8月9〜11日

通勤電車も少し空いてきましたね。これだけ暑いと読書の気力が失われますが,ちょうど光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「パノラマ島綺譚」が出たので読んでいます。懐かしいですな。なにか,天知 茂の顔も浮かんできます。乱歩はかつて鳥羽の造船所に勤めていたそうで,本書の舞台も伊勢志摩の小島が舞台です。あいかわらず張りぼてのセットを眺めるようなチープな絢爛さ全開の乱歩ワールドですが,打ち上げ花火の景気よさで,夏バテを吹き飛ばしてくれそうです。

8月5〜8日

カミサンも息子を連れて実家へ帰省中ということで,べつに休みを取っているわけではないのですが,なんとなく夏休み気分。読書のほうも,気楽な中公新書の新刊「ミニチュア庭園鉄道2」(森博嗣)を読んでいます。自宅の庭に鉄道模型(といっても人が乗れる)の線路を敷き,日々路線拡張に努めている著者のレポート第2弾。車両や機器,風景?も基本的に自作なので,ユニークな物ばかり。カラー写真満載。これは羨ましい。

8月3〜4日

岩波文庫の新刊「純粋経験の哲学」(ウィリアム・ジェイムズ)を読む。これにあわせて,久しぶりに「プラグマティズム」も重版したとのこと。青帯のなかで親しい本である「プラグマティズム」がずっとほっぽっておかれていたのかと思うと無念・・・というより,この著名な本ですらそんなに需要がないのか? 本書は,ジェイムズ晩年の著作で,『根本的経験論』と『多元的宇宙』に収められたもの。ちなみにジェイムズのお言葉には,「人間には、その人がなりたいと思うようになる性質がある」,「幸せだから歌うのではなく,歌うから幸せになる」,「行動は感情に従うように思われているが,実際には行動と感情は同時に働く。意思の力でより直接的に支配されている行動を規制することによって,意思に支配されにくい感情をも規制することができる。つまり,快活さを失った時,他人に頼らず自発的に快活さを取り戻す秘訣は,いかにも楽しそうな様子で動き回ったり,しゃべったりしながら,すでに快活さを取り戻したように振舞うことである」などがある。

8月1〜2日

岩波文庫の新刊「松蔭日記」を読む。綱吉の側用人として栄華を極め,幕府の財政を傾けた張本人,柳沢吉保の一代記である。「源氏物語になぞらえて・・・」と言われるように,多くの愛妾を囲い,豪華絢爛たる生活振りはお見事。当然,多くの批判も浴びたが,将軍への忠誠ぶりと,(消費?)文化振興につくした吉保の一途な姿は,本書によく現れている。丁寧に注は付けられているものの,決して読みやすくはない。それでも,お話しのスケールの大きさと,くよくよと反省などしない吉保の豪毅なところに惹かれて,一気に読んでしまった。

7月28〜31日

陶芸教室へ行って壷だか茶碗だかわからないものを作ったり,プールへ行って日焼けのだめ押しをしてきたりと,相変わらず忙しい夏休みを過ごしています。角川文庫の「鳥頭紀行 くりくり編」を購入し読んでいましたが,やっぱり家の本棚に元本がありました。最近は,文庫化されたときに,こっちの方が読みやすくていいや!ということで,以前確か単行本で買ったなぁと思う本でも,積極的に買うようにしています(いや,単に忘れっぽくなっただけ・・・)。本書の内容は,ミャンマーでの出家体験,ドイツ・ロマンティック街道での結婚式と新婚ツアー(もう別れてしまいましたが),そのほかホモ関係の話題など。文庫本で縮小されたため,文字は極めて読みにくいですが,視力に自信のある方にはお薦め。

7月27日

岩波文庫の新刊「嬉遊笑覧 三」を読む。本書は江戸時代の百科事典。前巻からは半年,その前は2年越しだったから,先の内容を忘れてしまいますな。本巻では,宴会,歌舞,楽曲,児戯,行遊,祭会といった夏休みにふさわしい内容を集めている。著者自筆本を底本とし,一見古めかしく見えるが,私のような古典音痴でも意外に読みやすく,江戸の蘊蓄話を楽しめる。ただし,索引は最終巻にしか無いようなので,今のところ事典としては役立たない。

7月26日

岩波文庫の新刊「井伏鱒二全詩集」を読む。全詩集といっても,薄い文庫本にすべて収まってしまうくらいであるから,詩に関しては決して多作ではない。のんびりとした感で,ニヤリとさせる作品も多いが,戦争の影もまた濃い。井伏が亡き父のノートで見つけたとして発表した訳詩(以前は井伏自身の作とも言われていた)や自分自身の手による訳詩も多数含まれており,これらは調子のよさを主眼としたユニークなものばかり。なかでも有名なのは,唐の「勧酒」の訳「ハナニアラシノタトエモアルゾ サヨナラダケガ人生ダ」。

7月22〜25日

天体観測会に行ってきました。夏の星座を見てみよう,という主旨ですが,当地のように街灯りで空がなかなか暗くならないところでは,残念ながら我が星座(蠍座)も今ひとつ輝いていません。グリーンアロー出版「ロシアカメラがむせぶ夜は−チョートクの赤色カメラ中毒者の作り方」(田中長徳)を読みました。冷戦時代のイメージから,西側カメラの質の悪いコピーじゃないか,と捉えがちですが,ユニークで独自の主張を持った魅力あるカメラもたくさん紹介されています。カタログ本ではなく,長徳氏の若き日の想い出を中心にロシアカメラへの思い入れを語ったもの。

7月21日

続けて,新潮社「針がとぶ Goodbye Porkpie Hat」(吉田篤弘)を読む。岩波文庫でもお馴染み,精興社の印刷で,さすがに綺麗な本だが,全体としてゆったりした流れでそれぞれの物語がまとめられているので,せっかちな人だと途中で息が続かなくなるかも。最後までいくと,ようやく流れが読めるのだが。

7月20日

筑摩書房「つむじ風食堂の夜」(吉田篤弘)を読む。著者は,吉田浩美氏とともにクラフト・エヴィング商會名義で著作や装幀の仕事をしている。シンプルで懐かしい感じのする装幀ゆえ,書棚での認識度は高い。物語はゆっくりした口調で語られた大人の夢物語なので,一読してインパクトに欠け,売れるかは??? でも,固定ファンがいるのでしょうね。猛暑の中,冷房の効いた帰宅の車内で読むと,暑苦しさをしばし忘れて,ほのぼの。

7月16〜19日

3連休。日本海側は洪水で大変だというのに,こちらは連日の猛暑。図書館に行ってきたのですが,読書というより避暑?の人たちで満員。そんななか,「じつは,わたくしこういうものです」(クラフト・エヴィング商會)を読む。ユニークな職業の人たちが,自分の仕事の内容を紹介するというもので,そのもっともらしい語り口が,こんな仕事があったらいいな,という気分にさせてくれる楽しい本。偽?ポートレートや関係する小物も創られていて,芸が細かいのは,いつも通り。ちなみに取り上げられている職業は,月光密売人,果実勘定士(鑑定士ではない),哲学的白紙商,白シャツ工房,二代目アイロン・マスター,秒針音楽師,三色巻紙配達人,時間管理人,チョッキ食堂,沈黙先生,選択士,地歴測量士,バリトン・カフェ,冷水塔守,ひらめきランプ交換人,コルク・レスキュー隊,警鐘人,シチュー当番(図書館の)といった面々。

7月15日

乱歩をようやく読み終わる。やはり,「屋根裏の散歩者」と「人間椅子」が着想の面白さや怪しい雰囲気で優れた作品だと思う。人間椅子の肉感は,映画やテレビドラマで見るより,文字を追った方が遙かに官能的だ。

7月14日

乱歩の「心理試験」など読んだせいで,犯罪者心理などつぶやきながら,講談社文庫の新刊「通勤快毒」(泉麻人)を読んでみたら,なかで詳しく紹介されている福田和子「涙の谷」が読みたくなった(あの整形逃亡犯ですな)。扶桑社文庫で出ているらしいのだが見あたらず残念。

7月13日

光文社文庫の江戸川乱歩シリーズ新刊「屋根裏の散歩者」を読む。おどろおどろしい描写に頼る乱歩も悪くはないが,やはり正面から新しいトリックや心理描写に取り組んだ初期の作品は,今なお新鮮で面白い。初期とはいっても,乱歩の本格的な文壇デビューは30歳のときであり,よく知られている作品掲載までの紆余曲折は,乱歩自身により本書にも記されている。

7月12日

最近は,デジタルカメラしか使っていないので,すっかりフィルムの感触から遠ざかってしまったが,こういう本を読むと,また古いカメラにフィルムを詰めてみようかな,という気になってくる。えい文庫の新刊「旅するカメラ2」。スポーツ紙カメラマンからフリーとなった無口な渡部さとる氏が,愛用のカメラや思い出に残る撮影の記録をまとめた「旅するカメラ」第二弾。作品50点も収録。ほのぼのとした感じが心地よい。著者による新写真日記はこちら

7月9〜11日

近所の海浜公園でプール開き。さっそく一日泳いできて,日焼けがヒリヒリ。子供も,浮き輪が要らなくなり身軽になりましたが,潜水しているのか沈んでいるのか,わからないときがあります。未だ出ていませんが,今月の岩波文庫新刊「井伏鱒二全詩集」。「山椒魚」やドリトル先生の翻訳では親しんできましたが,私にとって詩は初めて?なので楽しみ。

7月6〜8日

連日の猛暑で,さすがの通勤読書人もバテ気味。古い文庫本など読み返して,お茶を濁しています。夜は図書館で大量に借りてきた尼子騒兵衛の「忍たま乱太郎」シリーズを1日2冊のノルマで読書?というより読まされています。話は面白いけれど,眠い・・・。原作者あまこそうべえさんは,尼崎市生まれの妙齢の女性。1986年より朝日小学生新聞に「落第忍者乱太郎」を連載。時代考証には特にこだわりがあり,刀剣類・火縄銃等を収集。時として忍者装束を着て女忍者「くノ一」となりパフォーマンスも行う。「くノ一」は年齢不詳とのこと。

7月4〜5日

岩波文庫の新刊「対訳 ブレイク詩集 イギリス詩人選(4)」を読む。岩波文庫で昭和初期に刊行された寿岳文章「ブレイク抒情詩抄」(先に復刊された)が親しまれているとおり,わが国でブレイクは,明治中期より広く紹介され,海外の詩人の中でもよく知られているひとり。しかし,ブレイク自身は生前,銅版画家としてわずかに知られていただけで,詩人としては認められず,終生貧乏暮らしだったとのこと。本書には,ブレイクによるいくつかの幻想的な挿絵も掲載されているが,手彩色によるオリジナル版をぜひ見てみたい(Web上でもいくつか見ることができる)。

7月1〜3日

景気も相変わらずだし,年金も先行き不安,ということで,「株」の本が売れているらしい。大げさなタイトルが多い株本の中,「サンプラザ中野と松本大の株本」(日経)は,ほのぼのとしていて,初心者にも楽しめる。初めて株に手を出すS嬢に先輩サンプラザ中野が株取引指南,という内容だが,あまり儲かってないと嘆くサンプラザ氏,今月は「外為投資道場」も上梓して,かなり投資づいていますな。

6月30日

梅雨はどこへ行ったのか?と思っているうちに6月も終わり。子供の漢字検定の問題集を見せて貰ったが,なかなか難しい。我々の小学生の頃,そんなに漢字を覚えていたかな・・・と今となってはよく分からないのだが,いずれにしても私の場合,パソコンを使うようになってから漢字を書く力が相当衰えていることは事実。一緒に受検しよう!と言われても,中学生レベルでさえ,かなり自信なし。

6月29日

「観劇偶評」は相当読みでがあり,未だ終わりません。学生さんの夏休みの読書向けということか,角川文庫で夏目漱石やドーデ,トルストイなどが新装版で出ました。小学生のウチの息子も,寝る前には好きな本を抱えてポツポツ読んでいます。本を抱えたまま寝てしまったので,そっと取り上げようとすると,ガバッと起きあがり,栞入れないで閉じちゃったー,と怒ります。半分寝ながら読んでいるのですから,どこまで読んだのか怪しいものですが・・・。

6月28日

岩波文庫の新刊,三木竹二「観劇偶評」を読む。著者は森鴎外の弟。本書は明治期の歌舞伎批評集で,これまで,鴎外との共著「月草」として流布されている稀覯書だったが,今回待望の文庫化とのこと。一読して,これは戯曲や演出に対する批評が主で,役者の噂話を主としたそれまでの評判記とは異なる「劇評」であることが分かる。 ※三木竹二は津和野町の出身。本名を森篤次郎といい,鴎外の実弟であった。明治6年に家族とともに上京し,ドイツ語を学ぶために進文学社に入学。16年,帝国大学医学部に入学し,卒業後は医科大学内科に勤務。その後,開業する傍ら,歌舞伎の型の研究を行った。また、25年から『歌舞伎新報』の主筆となり劇評を連載し,同誌の「歌舞伎談義」で高い評価を得た。33年,青々園と『歌舞伎』を創刊し,主宰して93号まで編集に携わった。劇評はもとより,史談,芸談なども執筆して,近代歌舞伎批評家の草分けとして,また研究者としても活躍したのであった。(山陰中央新報より)

6月25〜27日

岩波文庫の新刊「ジェイン・オースティンの手紙」を読みましたが,これはどういう態度で読むべきなのか,悩みますね。200年ほど前の英国の若い女性の日常生活を知るためには役立つかも知れませんが,ここからオースティンの作品解釈や彼女の生きかたについてのヒントを得ようとしても難しいです。それだけ,日常雑記的で,自然な手紙ばかりということですね。当時の風俗に関する挿絵は少々入っていますが,肝心なオースティンの筆跡がどこにもありません。対訳本みたいに,一部でよいから実物を載せてくれたら,もっと楽しめたのに。

6月23〜24日

しかし,江戸川乱歩の今回の作品集,とぎれとぎれの連載の挙げ句,適当な結末を付けて終わったもの,結局中断してしまったものなど,いい加減な?作品ばかり。乱歩自身も先のあてが無く書き始めて行き詰まってしまったという通り,まあ,今となってはそれもよいかとは思うものの,当時,横溝正史から滅茶苦茶言われたのもやむを得ぬところ。その辺の事情が詳しく解説されていて,本文よりそちらの方が面白いな。明日はLivedoorの分割日,どうなることやら・・・これは株の話。

6月21〜22日

引き続き,鼻水垂らしながら乱歩を読んでいます。岩波文庫新刊「ジェイン・オースティンの手紙」を読もうと思うのですが,まだ手が着いていません。なお,今月は「塵劫記」が復刊されています。『江戸初期の和算書で,日常生活上・職業上必要な様々の実用問題・数学遊びを図と共に豊富に載せた便利な実用書』。こういう歴史の教科書でおなじみの本を,手軽に手に入れられるのが岩波文庫の良いところ。

6月18〜20日

光文社文庫の江戸川乱歩全集の11冊目,「目羅博士の不思議な犯罪」は,表題作,地獄風景,恐怖王,鬼,火縄銃,殺人迷路,悪霊,妖虫を収めている。ところが,妖気にたたられたのか,途中まで読んだところで風邪と発熱が酷くなり,週末は寝込んでしまったため,未だ後半は未読。無理してトランポリン教室へ通ったのがいけなかったのでしょうか。

6月16〜17日

先月購入した,初めての新仮名遣いでの刊行という岩波文庫「暗夜行路」全2冊(改版)を読む。とくに好きな小説なので,今回はじっくり読んでみようと思ったのだが,読み始めてみるとやはり止まらず,2日間の通勤電車の中で読み終えてしまった。先に改版された藤村の「夜明け前」は読み終わって気が重くなったが,本書は暗い運命を引きずりながらも,自分の気持ちに正直に生き,常に愛を求める主人公の姿に大いなる共感を覚え,美しい文章とともに心が洗われる思い。私にとってはかけがえのない青春の書。

6月15日

雑誌BRUTUSの最新号,さあブックハンティングの季節です,を読む。ブックハンティングというと,古書店へ足を運び,稀覯書を漁るちょっと怪しげな人,という感じだが,ここでは書店側に注目して,ユニークな書店を作る上での本集め,というお話し。最近青山一丁目にできた旅の本屋「BOOK24」をはじめ,全国のユニークな書店を紹介。また,各界のオシャレな?読書人も紹介しているが,これは薄っぺらくて面白くなかった。立ち読みで十分だったと後悔。

6月12〜14日

「古本屋50年」で増補された部分は,息子に店の経営を任せたところ一時期ファミコンソフトやアダルト誌などで儲けを得るようになったこと,ブックオフのような新形態の古書店の進出や公共図書館サービスの充実により経営が苦しくなったこと,かつて収集した近代文学の初版本などを活用すべくインターネット通販に乗り出しこれが現在の販売の中心となっていること,などである。最後に著者は,古書界の偉大な先達,故・反町茂雄氏が晩年著者に語った言葉を紹介している。『欧米にはそれぞれの専門分野の古書を扱う古書店は存在してますが,もうとっくに,日本にあるような「街の古本屋」はないのですよ。日本も遠からずそうなることを,あなたに言っておきます』,『貧しかった日本でこそ,何でもかんでも「本は大切なもの」という教育が必要だったのですよ。それが「街の古本屋」を今まで生きながらえさせましたね。でも本当に大切な本など,何千何万冊のうちの一冊,二冊なのですよ。そしてね,今の日本はもう決して貧乏国ではないのです』

6月10〜11日

ちくま文庫の新刊「古本屋50年」(青木正美)を読む。はるか昔,青木書店の自費(自社)出版本で読んでいたので,書店で見つけたときにはそれが文庫化されたのかと思い,パラパラめくってみたのだが,なにか様子が違う。それに,ずっと以前にほかの文庫版も読んだ覚えがあるぞ。ということで,よく思い出してみると,最初に読んだのは「古本屋30年」,次に文庫本で読んだのが「古本屋40年」(福武文庫),そして今回が「古本屋50年」と10年ごとに改訂版を出していたのであった。内容は,開業当時の思い出,趣味本との出合い,経営のノウハウなど,ふつうの街の古本屋の日常が詳しく描かれており,親しみが持てる。古典籍を扱う高級な古書店の店主の思い出話というのはよくあるが,本書は,我々になじみ深い古本屋のおやじさんが,なぜいつもムッツリとした顔で店番しているのかを知りたい人にお薦めの本。

6月8〜9日

文藝春秋7月号で「核心証言 雅子妃 その悲劇の全真相」などという特集があったので,皇太子殿下と同世代の私としては,人ごとならぬ?と読んでみたが,結局のところ皆,深厚な状況であるらしいということを感じているのに過ぎない。しかし,問題があったとすれば,皇太子殿下がなぜ雅子妃を選んだのか・・・ということに尽きると思うのだが。皇太子殿下の一ファンとしては,清潔感があり,なおかつ国民に親しまれる家庭作りを第一にすすめて欲しかった。

6月3〜7日

ご無沙汰しているうちに,いよいよ梅雨入り。土曜日は近所の蛍観察会に行ってきました。子供の頃の記憶では,あちらこちらでチラチラと蛍の光が飛び交い,ああ風流だなぁ・・・という感じだったのですが,いまの蛍は温室のようなところに押し込まれ,なにやら窮屈でお気の毒(保護しなければ育たないのでしょうが)。岩波文庫「夏の一括重版」,残念ながらこれは珍しい!と思うものが無かったのですが,この中で我が愛読書としては,「利根川図志」,「ガリレイの生涯」,「アンデルセン自伝」,「プラグマティズム」,「金瓶梅」といったところがあげられます。「アンデルセン自伝」は「自慢」が鼻につくものの,面白いエピソード満載で,アンデルセン童話に興味がある人にはおすすめです。

6月2日

クラフト・エヴィング商會の新刊「テーブルの上のファーブル」を読みました。センテンスごとに色が変わる文章,写真集とも雑誌ともつかないデザインがユニークで,とにかくオシャレな本。このファーブル(fable)は寓話のことで,「昆虫記」とは関係ありませんが,本書の収集家的な趣味,箱庭的イメージは,昆虫の世界とも通じるところがありそうです。

6月1日

山崎一夫「たぬきの明細票」を読む。西原本でもおなじみ,銀玉親方・山崎一夫による麻雀荘「たぬ御殿」商売日記。雀荘経営のアバウトさにもビックリするが,西原氏の豪快なマンガ満載でとにかく楽しめる。

5月27〜31日

そろそろ梅雨入りした地方もあるようですが,こちらは30度を超える蒸し暑い日が続いています。岩波文庫の新刊「吉田一穂詩集」を読みました。吉田一穂といえば,息子の吉田八岑氏が茅ヶ崎に住んでおり,悪魔学?で有名な氏らしく,江ノ島に海賊船スタイルのユニークなヨットを持っていました。吉田一穂の詩は,素人の私には,ひんやりとした感触が好ましい一方,徹底的な推敲を経た詩は理が勝ちすぎているようにも思え,なかなか難関でした。

5月26日

えい文庫の新刊「ライカ百景」(佐々木悟郎)と「お茶と写真の時間」(藤田一咲)を読む。デジタルカメラに転んでから,あまり熱を入れて読まなくなった写真本だが,この2冊は,カメラにこだわりがない人でも楽しめ,のんびりとした気分になれる。佐々木氏は,ライカやライカコピー機を中心に,クラシックカメラの日常使いの面白さを。藤田氏は,前著「ハッセルブラッドの時間」と同様,ちょっとクラシックなカメラ,オモチャっぽいカメラを使っての気楽な写真生活を提案している。デジカメだと,このまったり感を出すのが難しい。

5月25日

角川文庫の新刊「アホー鳥が行く−静と理恵子の血みどろ絵日誌」を読む。競輪・競馬狂の作家・伊集院 静と,その麻雀仲間・西原理恵子によるギャンブルエッセイ。伊集院氏は公営ギャンブルの中で,なぜ競輪だけがイケてないのか,それは胴元がアホだから,と執拗に書く。『男の牙が消えて行くのは現代人の風潮であるのか? それで逆に陰惨な犯罪が増えているのだから,人間のかたちが歪んで行っているのか? 競輪選手も格闘しなくなった。見ていて,お嬢さんのレースのようで情けなくなる。たかが十年,牙を剥いて走り切る選手はあらわれないものか。避けて走っても一生なのに。無頼派作家のエッセイに、あの“サイバラ”が無敵のツッコミ!描き下ろし、鴨志田穣氏を交えた3人の特別座談会も収録』。

5月24日

古書市で分厚い文春文庫「阿佐田哲也麻雀小説自選集」を見つけ読む(大部分は「麻雀放浪記 青春編」)。が,なんだか読みにくいなと思い,家に帰って古い角川文庫版の「麻雀放浪記 青春編」を引っ張り出してみると,文春版では活字が大きくなっているものの,コントラスト(とくに牌の)が弱く,眼が落ち着かない感じがすることがわかった。私自身,早くも老眼のハシリで,小さい活字は読みにくくなっているのだが,やはり電車読書のように光の具合がよくないところでは,紙の色も含めたコントラストが重要だと感じた次第。

5月20〜23日

梅雨のはしりのような鬱陶しい日が続いています。「娘巡礼記」(高群逸枝)の続き・・・。若い娘の珍しいひとり旅は,四国八十八ヶ所の先々で地元の人々の注目のまと。「よか所の娘でも病気ばかりは仕方がない。前世の罰だろう」と言われたり,彼女が寄稿した新聞記事を読んだ人が実は女を装う男ではないかとわざわざ訪ねてきたり,ときにはファン?となった若い男から手紙が届けられ,病気を治して欲しいと人々が押しかけてくる始末。もともとストーカーじみた恋愛騒動に悩んだ末の出立であったが,どこまで行っても彼女の新たな悩みは尽きません。書きぶりは大変素直で,楽しく読むことができます。

5月18〜19日

書店で見かけた60数年ぶりの復活だという中公文庫「読書術」(ファゲ)を,買おうかどうしようか悩みつつ,岩波文庫の新刊「娘巡礼記」(高群逸枝)を読んでいます。高群逸枝は大正7年,24歳の時に新聞記者を志望して九州日日新聞社に面接に行き,四国遍路の巡礼体験記を書くことを条件に旅費の一部提供を受けたとのこと。連載の当時より大評判だったそうですが,いま読んでも,若い女性のひたむきな姿と,そこで出会った人々との暖かいふれ合いに,心を打たれます。

5月17〜18日

もうそろそろ今月の新刊が出てしまう岩波文庫ですが,ようやく「福沢諭吉の手紙」(慶應義塾編)を読みました。『伊藤博文・岩崎弥之助ら明治の政治家・実業家や友人家族にあてた福沢諭吉の手紙118通を収録。「原点」「慶応義塾」「理財と実業」「民権と国権」「人間交際」「家庭と日常」と主題別に六部構成として,思想家福沢の人間像を浮彫りにする』ということで,昔の人は立派な手紙を書いた,と感心はするのですが,手紙といえば電子メールという今日,作家や著名人の書簡集というものがこれから編まれることがあるのかどうか,神保町で高価な自筆書簡や原稿を売っている古書店の今後はどうなるのか・・・。ありがたみ,というのも立派な価値ですしね。

5月14〜16日

宝島社文庫の新刊「2ちゃんねる住人はばかじゃない−2ちゃんねるVOW」を読む。おなじみ2chから生まれた面白いネタやキャラクター,独特の言葉など,あらためて本で読んで笑ってしまう。単行本「2ちゃんねるVOW逝ってよし!」のアップデート版。個人的には,ショッカーネタが一番面白かった。最近,小学生の息子が私のマンガ本「おぼっちゃまくん」を読んで下品なネタを連発しているので,怒ってはみるものの,オヤジも所詮同類だ・・・。

5月12〜13日

光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「緑衣の鬼」を読む。「赤毛のレドメイン家」を乱歩流に翻案した「緑衣の鬼」と,黒岩涙香の翻訳を更にリライトした「幽霊塔」の2作を収める。「緑衣の鬼」は,美人人妻が水族館の水槽に裸で沈められたりトランク詰めにされたりと,いかにも映画的なおどろおどろしさがメイン。「幽霊塔」は,「ある雨の日の退屈まぎれに,熱海にも数軒あった貸本屋の一軒から,菊判三冊本の「幽霊塔」を借り出して来て読みはじめたが,その怖さと面白さに憑かれたようになってしまって,雨がはれても海へ行くどころではなく,部屋に寝ころんだまま二日間,食事の時間も惜しんで読みふけった。」と中学生の乱歩を興奮させた涙香の翻訳をもとに,現代風に乱歩が書き直したもの。急転直下の結末など,筋立てはかなり無理がある感じもするが,少年の心に戻って十分ワクワクしながら読んだ。当時不明であった原作は,最近発見され,翻訳が進んでいるとのこと。

5月10〜11日

光文社知恵の森文庫の新刊「自転車ツーキニスト」を読む。著者(テレビ局のディレクター)のデビュー作「自転車通勤で行こう」増補改訂版で,原稿枚数は5割増。さらには「実践編」をかなり増強しましたので,単行本版を読んだ人にも初めての人にも読み応えある力作になっていると思います,とのこと。私は通勤距離が長すぎて,残念ながら自転車通勤とはいかないが,週末には自転車であちこち出向いているので,本書はなかなか実用上の参考になり,また中年サイクリストである著者の意気込みに大いに啓発されるところがあった。著者が繰り返し書いている唯一の忠告は,「激安自転車には乗るな!」である。理由は本書で。楽しいホームページもある。

5月7〜9日

なかなか五月晴れとはいかず,鬱陶しい日が続いています。今月の岩波文庫新刊は,「暗夜行路」(上,下)の改版,「娘巡礼記」(高群逸枝),「吉田一穂詩集」の4点。高群逸枝は熊本県豊川村生まれ。紡績工場などに勤めたのち,24歳の時,地元新聞社からの依頼で半年かけての四国巡礼体験をつづった「娘巡礼記」を寄稿。その後上京し,平塚らいてうらと無産婦人芸術連盟を結成。女性解放運動,女性史研究に関わり,「大日本女性人名辞書」を編纂。「母系制の研究」,「招婿婚の研究」,「日本婚姻史」などの著作があります。吉田一穂(よしだいっすい)は北海道の人。木古内に生まれ,ニシン漁で有名な古平で育つ。15歳の頃から詩作をはじめ,早大中退後26歳で童話集「海の人形」,翌々年詩集「海の聖母」を上梓。詩集6集,詩論集2集,童話3冊があります。1973年74歳で東京にて没。

5月6日

カオスシリーズの最新作「カオスだもんね11 ミズトフ編」(水口幸広)を読む。(最近,立ち読みしかしていない)週刊アスキー連載のレポートマンガをまとめたもの。カルピス,韓国旅行,大谷採石場,ラジオ生出演など,いつもながらのレポートもあるが,今回のメインはGNO(ガンダムネットワークオペレーション=ネットワーク対戦ゲーム)。このマンガのおかげでGNO参加者がどっと増えたといわれるほど,ハマリ具合が面白い。

5月1〜5日

5連休中,我が家はカミサンが1,2日と姉妹で箱根に出かけてしまったので,私は近場でのんびり。新江ノ島水族館の年間パスポートを取りに行ったりしていました。3〜5日は,泳ぎ好きの子供のため,前々から行こうと思っていたスパリゾート・ハワイアンズへ(我々の世代にとっては,常磐ハワイアンセンター)。3,4日は大変な人出で,人をかき分けかき分け泳ぐような感じでしたが,5日はかなりゆったりできました。Mr・マリックのショーや日本一の露天風呂も楽しみました。3日間泳ぎっぱなしだったため,体のあちこちが筋肉痛ですが,幸い渋滞にもあわず,まずまずの家族サービスになったようです。

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