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4月29〜30日

別に家を建てるわけでもないのに,最近こんな本ばかり読んでいます。講談社+α文庫「不動産営業マンに負けない本」(稲葉なおと)。著者は,分譲マンション,戸建て住宅の企画・設計および商業ビルの企画・運営に携わる「建築プロデューサー」。不動産,とくにマンションの購入にあたっての実践的なアドバイスもあるが,主眼は,信用できないように見える不動産屋の言動から,その裏事情を察し,営業マンを自分の手足として動かそう,ということ。ついでに,著者による「Web版まだ見ぬホテルに」ものぞいてみた。Real Playerでのスライドショーは,なかなか面白い。

4月28日

岩波文庫新刊「森鴎外の系族」(小金井喜美子)を読む。鴎外の妹であり,明治期の翻訳家,小説家としても知られる著者の追想集。祖父母・父母,二人の兄鴎外と篤二郎,解剖学者として高名な夫小金井良精の追憶と著者自身の小説を集めており,そのなかでも,『長兄の事は,世を挙げてともいうように,誰も誰もが長年の間に,言い尽くし語り尽くして下さるのを喜ばしく思うにつけ,次兄の事は全く世に忘れられておりますので,私が朧気な記憶を辿って書きましたのも,せめて幾分世に残したいと思うからなのです』というように,次兄篤二郎に関する記述が1/3ほどを占める。若くして亡くなった篤二朗は,医師であり,芝居通の批評家としても知られている。血塊による窒息死であったその最期が,ここに詳しく描かれている。後日鴎外は,解剖に立ち会って卒倒したという。『死の因の 咽喉をふさぎし 血塊を 示さりし時 倒れつる兄』 ほかに小金井喜美子の随筆として,岩波文庫「鴎外の思い出」がある。

4月27日

新刊「フォクトレンダー ベッサ読本」(田中長徳)を読む。カメラジャーナルBOOKSも5冊目。フォクトレンダーというのは,ライカのようなレンジファインダー式カメラで,元は古くから有るドイツの有名なメーカーだが,現在はそのブランドの使用権を得た信州のコシナでを製造されている。ブランド品の国内生産というのは,カメラ以外ではごく普通のことだろうが,カメラの場合,コピー品の安価な製造のためではなく,まったく新しいアイデアのもと,世界の注目を集めるような製品を造りだしていることに意義がある。フォクトレンダーは,現在のオートフォーカスの機能満載一眼レフと対極にあるプリミティブな機構しか持っていないが,よい写真が撮れそうな気分にさせてくれるカメラではある。

4月26日

講談社+α新書「納得の間取り−日本人の知恵袋」(吉田桂二)を読む。昔ながらの日本家屋は,日本の風土に合っている・・・とよくいわれるが,はたして日本の風土とは何だろうか。江戸,明治時代の日本人の生活と現在の日本人の生活,現在の米国人の生活と現在の日本人の生活,どちらに大きな差があるのだろうか。余分な物を排して広く住もう,との主張は納得できるが,それが洋式の家で不可能かというと,そんなことはないと思う。室内の柱を減らし空間を大きくとれるのも2×4のメリットじゃなかったか。著者は70歳の建築家。『日本の家が一番。血が通った和風の家を今,見直す!! 間取りとは,家族個々の“部屋取りパズル”ではない! 日本住宅建築の第一人者が熱く説く「今や日本の家は決して狭くありません。」小さく造って広く住む知恵に学べ。』

4月25日

みうらじゅん「マイ・ブームの魂」(角川文庫新刊・元版朝日新聞社1997刊)を読む。このあと「マイ・ブームの狼」,「マイ・ブームの塔」と続く,マイ・ブームの名付け親みうらじゅんが,奥村チヨ,仏像,ボブ・デュラン,女装!について熱く語る。仕掛けられたブームではなく,あくまで自分の中での一番を目指しながら,しかし他人には負けたくないという意地もある。『マイブームっていうのは、一応「マイ」ってついてるけど,ブームなわけじゃないですか。ブームってことは,一人より二人の方がいいわけだし,たくさんの人に流行ったほう がいいわけだから,自分で集めたこととか物自体は,ほんとは俺はどうでもいいわけ。それを集めて再構成して,CDとか,何かを作ったりして,例えば仏像だったら,昔は年寄り臭いイメージがあったわけでさ。おじいさんしか見ないところを,ロックとか使ったらどうかな,って。』 岩波文庫は果たしてマイ・ブームとなりうるのか・・・。

4月24日

「八十日間世界一周」を読み終わった。解説によると,本書に描かれた世界各地の風習や事件は,ことごとく当時の旅行記などから,そのまま引っ張ってきたものだという。旅の途上,あれだけ新聞を読み,船や列車のダイヤを綿密に調べていたフォッグが,なぜロンドンに戻るまで一日のズレに気づかなかったのか・・・ということはともかくとして,紳士であると同時に熱血漢であり,愛と友情に篤い英国人フォッグよりも,フランス人の従僕パスパルトゥーの愉快なキャラクターの方がずっと活きているように思う。すべてが英国的な舞台装置でしつらえてはいても,これはやはりフランス文学なのだ。

4月23日

岩波文庫新刊ヴェルヌ「八十日間世界一周」を読み始めました。これを初めて読んだのは,学研の「少年少女ベルヌ科学名作全集」。1960年代は,ヴェルヌの邦訳が盛んに出た時期で,当時小学生だった私も,熱心な読者でした。その後,文庫本で読んだはずなのですが,旺文社文庫だったのか角川文庫だったのか定かではありません。「八十日間世界一周」は,1872年に雑誌に発表され,はやくも78年にはヴェルヌの初めての邦訳として日本で出版されています。まだアメリカ大陸を横断中ですが,今回は丁寧に読んでいるので,結構新たな発見があります。

4月19〜22日

この週末は,風邪気味だったところに,思わぬ寒さで,すっかり調子をくずしてしまいました。「東京人」5月号を読みました。特集は「古本道」。『店主に聞く,達人に聞く−店主に聞く古本屋道,達人に伝授してもらう古本の探しかた。神保町だけでなく,都内各地の古本屋で,思いがけない本に出会えるかもしれません』。田村書店店主の対談から始まり,早稲田の古書店巡り,,最近のニューウェーブ系古本屋まで。とりたてて新しい話はないのですが,まだ足を運んだことのない「古書のあるサロン」には,ちょっと惹かれました。

4月18日

なかなか読みで?があるマガジンハウスのBRUTUS OnLine。とくに「ブルータス不動産」は,画一的だと思われがちな賃貸集合住宅にも,こんなユニークな物件がありますよ,ということで面白い。もし,自分が独身であったら,都心の小さな土地でいいから,徹底して自分の好みだけを取り入れて1軒建ててみたい,と思う。もちろん一番重視するのは,文庫本を含む蔵書の背文字が全部読めるような書庫だ。だいたい,住宅雑誌に書斎はあっても,書庫のある家は少ない。ましてや,高い本棚に囲まれた落ち着いた読書空間となると,これはかなり贅沢なよう。

4月17日

岩波書店のホームページに「リンク集」というのがあって,『新しい試みとして読書家のための関連サイトを集めてみました』とのこと。リンク集が果たして,新しい試み,というほどのものかはともかくとして,選ばれたサイトの顔ぶれは,たしかに普通の出版社リンク集にはない「新しさ」だ。ちなみに出版社では,偕成社,紀伊國屋書店,勁草書房,こぐま社,東京大学出版会,白水社,福音館書店,法政大学出版局,みすず書房,未来社の10社。

4月16日

読書関係のホームページをお持ちのみなさん。「bk1ブリーダープログラム」が4月24日から受付開始です。これは,個人でホームページを持っている人,メールマガジンを発行している人にbk1へのリンクを張ってもらい,そのリンクを経由して誰かが書籍を購入すると,ホームページ運営者(メールマガジン発行者)にbk1から販売手数料が支払われる,というもの。販売手数料は,書籍の総売上高(本体価格合計)に対して「3%」相当の「bk1ポイント」で支払われます。

4月12〜15日

18日は東京ディズニーランド開園18周年記念ということで,またまた行って来ました。天候に恵まれ,早くも結構日に焼けてしまった感じ。恒例のピンバッヂもゲットしました。

今月の復刊はちょっと面白くて,青木青児「華国風味」(岩波文庫初版1984年),ハドソン「緑の館」(改版1972年),「エックハルト説教集」(初版1990年),芥川龍之介「芭蕉雑記・西方の人」(改版1991年)の4点。「華国風味」は,酒のみで食いしん坊な中国文学史の大家による食物エッセー。「緑の館」は,ハドソンの出世作で,南米ヴェネズエラの密林で繰り広げられる青年と野性的な少女とのロマンス。ヘプバーンの映画も懐かしい。「エックハルト」は,13世紀ドイツの神秘主義者。離脱の精神を語る。『もし私が存在していなかったらば「神」も存在しなかったであろう。神が「神」である原因は私なのである。もし私が無かったら神は「神」でなかったであろう』,『人間は考えられた神に満足してはならない。なぜなら考えがなくなれば神もなくなってしまうからである』,『しかも神と人間は別々のものではない。「単純な人々の多くは神はあちらにいて自分たちはこちらにいると思い込んでいる。しかしそうではない。神と私,私たちはひとつである』,『なにものにもとらわれず自由な人は神と等しくなった人であり,このような人は何も恐れるものがない』。エックハルトについては,講談社学術文庫に「エックハルト 異端と正統の間で」(上田閑照著)あり。「芭蕉雑記」は芥川の古典研究の精華を示す短篇集。青空文庫版あり。

4月11日

図書4月号に,関川夏央氏が「内面というものはない」と題する一文を寄せている。筆者が,好きな片岡義男を雑誌の書評に取り上げようとしたとき,「内面が書けていない。これは文学ではない」と即座に否定した人がいたというのだ。いま,Amazonで片岡義男を検索すると230点以上がリストアップされる。すでに絶版となっているものも多いのだが,あらためて眺めてみると,そのほとんどを読んでいることに,我ながら感心する....。

4月10日

家(いえ)の本を2冊読んだ。「マンションは大丈夫か」(小菊豊久・文春新書)と,新刊の「建てて,納得!」(片山かおる・文藝春秋)。前者は,我が国におけるマンションの歴史や現状を要領よくまとめており,バブル崩壊と阪神大震災により大きく揺らぐことになったマンションの価値と将来を展望する。『マンションは仮住まい……何となくそんな風に考えていませんか? だから少々住み心地が悪くても,さほど気に留めることもない。この日本独特の集住形式が登場してほぼ80年。マンション発達史において居住者の希望が真に叶えられたことは一度もない,と著者は言います。そろそろ「本物のマンション」について考えてみる時ではないでしょうか。そのために必要な,役所も供給者も教えてくれないマンション情報が,この本には満載です。』(編集者より)

後者は,バブルのなか,次々と住み替えて,1億数千万の自宅を建てることになった著者(「お受験」などの著書あり)の家探し,家造りの経験と,いろいろなライフスタイル(いわゆる普通の夫婦と子供2人という家族構成とは違った)における家造りの楽しみや苦労を,実際の家を訪ね,レポートしたもの。いわゆるハウスメーカーのお仕着せではなく,建築家と施主が知恵を出し合う家造りは,確かにエネルギーは使うが,面白い。なんか品のない文章のように感じられるのが残念。『所有することに意義がある"消費物"としてではなく,子や孫に残す"資産"としてでもなく,気持ちよく生活するための”器”としての家を考えたい,と思って書いた本です。2年間で34軒の家と,建築家,ハウスメーカーを取材しました。年をとることが楽しくなるような一人暮らしのための家,省エネルギーで環境や健康に気を遣った次世代住宅,職人の技を生かした家,ハウスメーカーで100%満足のいく家を建てる方法など,「理想の家」をつくるための秘訣が必ず見つかるはずです。いつか家を建てたいと思っている人はもちろん,一生家なんていらないと思っている人にもぜひ読んでいただきたい一冊。第一章に私が家を持つまでの奮戦記がありまして,本になって読み返すと,我ながらあまりに強烈な内容なんでお恥ずかしい……』(著者) いえいえそんなにご心配なさらずとも,べつに強烈なところはありませんでしたよ....。

4月9日

きょうは入園式でありました。平日だし,父親などあまり来ていないだろう,と思ったのだが,いやいやほとんどの父親が来ていたのにはビックリ。母によると40年近く前,私は登園拒否児?だったそうで,1年間,どうしても幼稚園に行こうとしなかった。それが突然,次の年には嬉々として通園していたそう。今となっては,私自身にもそのときの心境は分からないが,なんとなくそういう性格はいまだにあとをひいているような気がしないでもない。なかには泣きじゃくる子もいて,引っ込み思案だった幼き日の赤瀬川原平少年が,食堂に行く,と騙されて幼稚園の入園式に連れて行かれ,あまりのショックに母の袖をつかんで涙にくれた....という話も思い出した(赤瀬川原平「ライカ同盟」ちくま文庫版もあり)。

「君たちはどう生きるか」といえば,2chにまだログが残っていましたこちらのガイドもよく纏まっています。

4月7〜8日

日曜日は鎌倉祭りということで,花見にはやや遅かったのですが,出かけてきました。家のそばのバス停から,江ノ島経由,鎌倉駅行きのバスに乗ると,いつものことながら我々以外にほとんど乗る人がいないといったガラガラぶりで,子供もお菓子を食べたり飲んだり,早くも遠足気分。JR辻堂駅発・鎌倉駅行の江ノ電バスは,ずっと海岸を走り続け,とにかく眺めがいいので,湘南海岸,江ノ島,鎌倉を訪ねる方にはぜひお薦めします(ただし,本数が少ないので,事前に江ノ電バスまで時刻表の問合せを)。鶴ヶ岡八幡宮,小町通り,大仏と,こちらは大変な人出でした。

4月6日

岩波文庫在庫希少本一覧(II)を作成しました。

4月3〜5日

入学,就職のシーズンということで,なにかスタートのはなむけとなるような本がないか....と思っていたら,岩波書店のHPで「人生のスタートラインに読む20冊」という企画があった。今時,入学,就職したからといって,あらためて「いかに生きるべきか」などと考える若者はいないと思うが,まあ,読みたい本より読ませたい本というわけなんでしょう。岩波文庫で唯一取り上げられているのが「君たちはどう生きるか」....。岩波文庫在庫希少本一覧(I)を作成しました。

4月2日

ここのところ続き物が多くて,今ひとつ新鮮みがなかった岩波文庫ですが,今月は「うるしの話」(松田権六),「八十日間世界一周」(ジュール・ヴェルヌ),「森鴎外の系族」(小金井喜美子),「ユトク伝」(中川和也訳)と,なかなか面白そう。「ユトク伝」は,『チベット医学の祖で,第2の薬師仏と称されるユトクは,8−9世紀の人。本書は,子孫に伝えられた様々な彼の言行,エピソードを編纂して17世紀に刊行され,その深い倫理性と宗教性によって,現在もチベット医の座右の書となっている。ユトクの先祖の話,伝説から,亡くなるまでの出来事が語られるチベットの一大叙事詩』とのこと。 チベット仏教のことはこちらに詳しい。

4月1日

いよいよ4月。またいくらか暖かくなってきたので,どうにか花見もできそうですね。岩波書店のホームページがリニューアルされました。復刊リクエスト受付や,プレゼントがあたるアンケートもやっています。岩波文庫の売り上げベストテンに「尼僧の告白」が入っているのが面白い。

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