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12月27〜31日

さて,今年もいろいろありましたが,まずは無事に年が越せそうです。休みに入り,子供と一緒にラジコンのツーリングカーなど組み立てながら,岩波文庫「近世風俗志」の第5巻を読んでいます。この最終巻には,食べ物(みそ,醤油,酒から天ぷらや菓子まで),食器,傘,履き物(草履や下駄),駕籠,芝居などが収録されており,江戸庶民の生活百科として,あちこち拾い読みしているだけでも面白い。来年もまた良い年でありますように。一年間ありがとうございました。

12月26日

角川文庫の新刊「ベトナム怪人紀行」(ゲッツ板谷ほか)を読む。「2年前,オレはベトナムに完敗した・・・」。苦い思い出を胸に,ゲッツ板谷とカメラマン鴨志田,なんとなく弱気な現地コーディネーター鈴木の3人が,ベトナム各地で大暴れ(前作はベトナム乱暴紀行)。不味い食事とサービスのかけらもないホテル,貧しいが意地っ張りでプライドの高いベトナムの人々。やる気のないだら〜んとした空気の中に,なぜか常に漂っている哀愁。同じ民族同士で激しく戦った北ベトナム,南ベトナム,ベトコンの兵士たちも,いまは歳をとり,ともに市中で生活している。しかし,乱暴なインタビューで彼らの重い口を開けさせると,そこにはまだフランス植民地時代からつづく戦争の傷跡が色濃く残っており,いつもは傍若無人なゲッツ板谷も,さすがにシュンとする場面あり。

12月25日

角川文庫の新刊「できるかな」(西原理恵子)を読む。ご存じサイバラが,自作検知器を持っての事故後「もんじゅ」訪問,タイにいる旦那の現地マンション購入レポートやそのご近所生活,気持ち悪さ満杯の釣り紀行,過激な岸和田だんじり体験,怪しいロック・コンサートのライブなどなどを過激マンガで描く。元本は1998年に読んだが,文庫本で二度読みしても笑える本。

12月24日

朝日文庫「遁げろ家康」(池宮彰一郎)の記述の一部に,故司馬遼太郎「覇王の家」(新潮社)と類似した部分が複数個所あることが分かり,池宮氏は「家康関係の資料と先輩作家の作品が混ざってしまった」と司馬さんの遺族に謝罪文を送った。朝日新聞社は25日付で絶版とし,自主回収するとのこと。朝日新聞社によると「今年9月,類似点が多いとの読者の指摘を受け調査していたが,登場人物の発言や場面の描き方で似ている部分が相当数あった」という。「遁げろ家康」は97年週刊朝日に連載され,単行本が約9万部,文庫本は約8万部出版されている。

12月21〜23日

3連休ではありましたが,天気が悪かったこともあり,床屋へ行ったり,写真を現像に出したり,近所の焼き肉屋へ行ったりと,地味に過ごしていました。クリスマスのケーキはすでに食べてしまったし,プレゼントも用意したし....あとは無事に年が越せることを願うのみ。今年は「討入り」から300年目とのことで,忠臣蔵?という人には,岩波文庫「元禄快挙録」(全3冊,福本日南)をお薦めします。浅野内匠頭の刃傷から赤穂浪士の吉良邸襲撃・切腹まで,忠臣蔵事件の全貌をまとめたもので,講談調の忠臣蔵に馴染めない方でも興味を持って読めること請け合いです。

12月20日

岩波書店によると,2002年の文庫売り上げベスト10は,(1)「武士道」(新渡戸稲造),(2)「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎),(3)「ハムレット」(シェイクスピア),(4)「子規を語る」(河東碧梧桐),(5)「法然上人絵伝」(上),(6)「回想 子規・漱石」(高浜虚子),(7)「こころ」(夏目漱石),(8)「ドーミエ諷刺画の世界」,(9)「論語」,(10)「ヘルダーリン詩集」,とのことです。ちなみに,本年度の私のベストは,(1)「新編 みなかみ紀行」(若山牧水),(2)「パロマーの巨人望遠鏡」(ウッドベリー),(3)「新編 作家論」(正宗白鳥),(4)「新編 春の海」,(5)は,「回想 子規・漱石」(高浜虚子)と「子規を語る」(河東碧梧桐)をあわせて,といった感じでしょうか。次点は改版された「怪談 牡丹燈籠」(三遊亭円朝)と刊行途上の「デイヴィッド・コパフィールド」(ディケンズ)ですね。

12月19日

今年もあと2週間。たまには書棚の整理を,と思ったのだが,ここのところ旧岩波文庫に巻いてあるパラフィン紙の風化?が急速に進んでいることに気がついた。購入してから20年以上経ったものが,べつに傷を付けたわけでもないのに,そこここに穴があき始めている。この辺が寿命なのか,と思うが,なんとなくうらぶれた感じの書庫になってしまった....。

12月17〜18日

集英社新書の新刊「天才アラーキー写真ノ時間」(荒木経惟)を読む。最近の作品をライブ(というより咆哮)風に,撮影状況や狙いをアラーキー自らが解説。「普通は,モノとかにピントを合わせるってよく言うじゃない。あたしはコトにピントを合わせるって言うけどさ。・・・」,「写真は顔だから,うまいかどうか見るときに,顔を撮らせれば分かりますよ。顔を撮れてるヤツはほとんどいないだろ。・・・」なにか言い放題ヤリ放題てな感じもするけれど,夫人を亡くして以降,荒木氏の心境の変化が伺える本。

12月16日

岩波文庫「近世風俗志」(守貞漫稿)の第5巻が12月に出て,ようやく完結。6年越しの刊行だったので,この前はいつ出たのか忘れてしまった・・・。第5巻には,80ページをこえる詳細な索引が付いているとのことで,あらためて面白そうな項目を,じっくりと読んでみたいと思います。

12月13〜15日

日曜日には,子供の友達がたくさん集まって,我が家でクリスマスパーティ。まあ,親も子供もたいへんな騒ぎでありましたが,これも1つの気晴らしにはなりますな。文春新書の新刊「ウィーン・フィル 音と響きの秘密」(中野 雄)を読みました。この手の本は,昔から聞き飽きたような話を偉そうに書いてあるだけ,ということが多いので,書店でちょっと躊躇しましたが,これはお薦め。小澤征爾の音楽監督就任で話題となっているウィーンフィルの歴史や,過去の指揮者達との関係を,新旧の楽員達からの聞き書きにより描いており,演奏家ならではの示唆に富んだ話が多く,楽しんで読むことができました。

12月12日

朝日文庫の新刊「東海林さだおの大宴会」を読む。ご存知「丸かじり」シリーズの傑作選第3弾。とうぜん中身は読んだことのあるものが多い。それでもまたまた楽しく読めてしまうのが,東海林さんの芸の力。もちろん,丸かじり・・・を未だ読んだことのない人には,分厚いけれど入門編としてお薦め。

12月11日

もう1つ,えい文庫の新刊「あの時代,オーディオへの憧れを今再び 憧れ探求隊編」を読む。1970〜80年代に名器とうたわれたスピーカー,アンプ,ターンテーブルなどを写真入りで解説。JBL4343をはじめ,Mcintosh,Accuphase,Luxmanなど,オーディオ少年のあこがれだった懐かしい機器にご対面。憎いことに,現在の中古価格も書かれていて,当時夢でも手に入らないと思っていたものが,今ならどうにかなりそうな気にさせてくれる・・・。衝動買いのクセのある方,ボーナス貰ったばかりの方は,心して読まなければならない。

12月10日

えい文庫の新刊「ライカとモノクロの日々」(内田ユキオ)を読む。月刊カメラマン誌に連載していたフォトエッセイをまとめたもの。デジタルカメラの隆盛で,フィルムカメラ自体の存続が不安な現在,モノクロフィルム(とライカ)で撮ることにこだわる著者が,自らの写真歴と,モノクロ作業ならではの暗室作業の楽しみを語る。私自身は最近,モノクロを使うことはほとんど無いが,これを読んだら,また撮りたくなってきた。モノクロでのほのぼのとした暖かみのある写真は,眺めるだけでも嬉しい。

12月9日

東京は珍しく本格的な雪で,我が家でも子供が小さい雪だるまをいくつか作っていました。そんな中,岩波文庫の新刊「新編  春の海―宮城道雄随筆集」を読んでほのぼのとした気分に。「水の変態」や「春の海」などの箏曲で知られる宮城道雄氏は,西洋音楽にも造詣が深く,その要素を邦楽に導入することによって,新しい日本音楽の形をつくり,現代邦楽の基礎を築きました。琴の大家,というイメージとは別に,本書には冗談好きで賑やかなところが好きだったという著者の人柄がよく現れていて,楽しく読むことができました。戦前の林 芙美子との対談もおさめられています。

12月6〜8日

週末は箱根の温泉へ。我が家から箱根湯本まで電車で1時間弱,そこから登山電車とロープウェーで桃源台のホテルまで行ったのですが,あいにくの雨模様で,ロープーウェーは文字通り五里霧中。夕方からは雪となり,紅葉に降り積もる雪を眺めながらの露天風呂は,なかなか風情があって良かったです。

12月5日

書店で「村山槐多耽美怪奇全集」(学研M文庫)が出ているのを見かけて,その分厚さに驚く。槐多は,放浪と退廃的な生活の末,1919年22歳で夭折した画家。詩人や伝奇作家としても多くの作品を残した。この一巻本選集には,津原泰水による槐多の生涯を描いた中編小説も併禄されているのでお薦め。ちなみに槐多の「悪魔の舌」,「殺人行者」は,青空文庫で読むこともできる。

12月3〜4日

ずっと風邪気味で,読書欲が減退気味。せめて食欲増進に,という訳でもないが,新潮文庫の新刊「東京名物」を読む。団子,たいやき。佃煮など,江戸情緒を残す東京の名物78点と,東京の社寺の楽しい「縁起物」13点を紹介。映画監督でもある著者・早川 光氏は,東京土産の安易なカタログではなく,マイナーでも職人のこだわりが感じられる逸品を選んでおり,ちなみに団子では,羽二重団子でも言問団子でもなく,千住の槍かけだんご,が取り上げられている。

12月1〜2日

今月岩波文庫で復刊される「アイヴァンホー」。騎士道物語好きな人にとっては,ワクワクする物語です。アイヴァンホーは,ノルマン支配下のイングランドで,サクソン王家の復興を熱望する大地主セドリックの一人息子として生まれた美しい青年騎士。サクソン王家の血を引くロウィーナ姫と恋仲になったため父に勘当されたアイヴァンホーは,敵のノルマン・リチャード1世(獅子心王)に仕えて十字軍に参加し,数々の武功を立てる。巡礼に身をやつし,何くわぬ顔で父の邸に入ってもてなしを受け,ロウィーナと言葉を交わしたりしていたが,槍試合の日に勝者となったことから正体がばれてしまう。この試合で大けがを受けた彼は,美しいユダヤ娘レベッカに介抱されるが,ロウィーナへの思いは絶ちがたく,やがて勘当が解かれ,ロウィーナ姫と末永く幸せに暮らしました....というめでたいお話。獅子王リチャードが変装する黒衣の騎士や,ロビンフッドなど,とにかく騎士道精神あふれるカッコいい人ばかり出てくるので,クリスマスに読む本としてもお薦め。

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