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Book Review October 1997 今月は創刊70周年記念として次の5点が発売になりました。
本書は十数年前,荒俣氏が雑誌『BOOKMAN』に連載していた古書, とくに博物学関係の洋書・和書を中心にしたエッセイをまとめたもので, ブックハンティングの標的にされているのは,文字通り文庫本とはケタ違いの 資金が必要な稀覯本ばかりですが,豊富な図版を含み,書物グルメぶりを堪能できます (私の愛読していた雑誌『BOOKMAN』については,ここをご覧下さい)。 ファンにはお馴染みの話題ばかりかもしれませんが,一読をお薦めします。 副題は『本の愛し方,人生の癒し方』....心ならずも波瀾万丈の人生となってしまった 荒俣氏の心境がうかがわれますね....(涙)。 さて本題に戻って,今月の新刊をみてみましょう。 書物(森 銑三,柴田宵曲) 生涯を近世の書物研究にささげた森 銑三(1895-1985),柴田宵曲(1897-1966) による書物をめぐる随想集。真向から書物,読書,出版についてのモラルとでも いうべきものを説く森 銑三に対し,淡々とした文章でそれらの楽しみを語る 柴田宵曲と,文章は対照的であるが,どこから読んでもおもしろい1冊になっています。 世界文学のすすめ(大岡 信ほか編) 創刊以来70年,岩波文庫に収録されている約1000点の外国文学書の中から, 『唐詩選』『オデュッセイア』『ガリヴァー旅行記』『白鯨』『グリム童話集』 『千一夜物語』等30点を選び,それぞれの魅力を語るエッセイを収めています。 執筆者=秋山 駿,五木寛之,落合恵子,加賀乙彦,鹿島 茂,河合隼雄, 木下順二,串田孫一,田辺聖子,辻 邦生,四方田犬彦等。別冊扱い。 読書案内−世界文学(サマセット・モーム)
本書はイギリス文学,ヨーロッパ文学,アメリカ文学の3章からなりますが, モームは実際的なアドバイスも忘れず,分野の異なる数冊の本を気分に合わせて 並行して読む「読書の仕方」や,「とばして読むことも読書法のひとつ」 などの項もあります。以前,『戦争と平和』について話をしたとき, 「読んだけど戦争場面はとばしちゃった」という友達がいましたが,正直なところ, 私もすっ飛ばして読んだクチで,これで「読んだ」というのは後ろめたいと, ずっと思ってきたのですが,モームはこの書でちゃんと弁護してくれました。 世界の十大小説(全2巻)(サマセット・モーム) モームが世界文学の中から小説10篇を選び,その作者と作品について実作者の視点から 論じたユニークな文学論。小説を読む楽しさを主眼に,作者の生まれ育った環境や性格, 日常生活や人間関係などからその人間像に迫り,作品が生み出される過程を生き生きと描きます。 世界とはいっても,ここは西欧世界,とくにイギリスを地図の中心においた世界です。 選ばれた作品は,英文学で最も健康な小説といわれる『トム・ジョーンズ』, 『高慢と偏見』,『赤と黒』,『ゴリオ爺さん』,『デイヴィッド・コパーフィールド』, 『ボヴァリー夫人』,『白鯨』,『嵐が丘』,『カラマーゾフの兄弟』,『戦争と平和』, 以上10点です。もし皆さんが,10大小説を選ぶことになったら,どんな選択をするでしょうか。 私でしたら,モームの選択のうち,『戦争と平和』,『赤と黒』(パルムの僧院にするかも しれません),『嵐が丘』を残し,日本の作品として『雪国』,中国からボリュームでも 負けていない『紅楼夢』,『西遊記』あたりは入れたいところです。アメリカ文学も 『白鯨』に代えて『武器よさらば』を入れましょうか。『ゴリオ爺さん』はすばらしい 作品には違いありませんが,バルザックを一つの作品で代表させるというのも無理な話 ですし^^;;。まあ,これはいろいろ意見が出そうですね。 モームのブックガイドとしては,ほかに河出書房より『世界100物語』(全2巻) が出ています。第1巻は,短編小説の成り立ちと流れを紹介するモームの「解題」つきで, ウォルター・スコット,バルザック,ポー,フローベールなどを収録。第2巻は, 「小説のおもしろさ」を満喫できる名作を揃えて,リラダン『オランプとアンリエット』, モーパッサン『くびかざり』,『遺産』,ワイルド『幸福な王子』など11篇を収録しています。 読書のすすめ(岩波文庫編集部編) なぜ,本を読めとすすめるかといえば,私自身が若い頃に本が好きで, 人より読書に熱心だったことが,70年も生きてきて,つくづくよかったと, 身にしみて思うからです(瀬戸内寂聴『若き日にバラを摘め』)。著名な学者・ 小説家ら37氏の個性と体験がにじみ出る読書のすすめ.熱いメッセージは 世代の別を越えて読む者の心に響きます。別冊扱い。 |